【市販薬の副作用】その「1錠」が脳をダメにする
こんにちは、Michiです。今日は医学・健康レポです。
薬剤師で、「薬に頼らない健やかな生活を広げる活動」をされている宇多川久美子さんという方が書かれた著書【その1錠が脳をダメにする】から、ロキソニンをはじめとした市販薬の危険性についてレポしたいと思います。
本の帯に「それでも飲みますか?」とあり・・なんだか少し脅迫のような本ですね。
しかし、私も医療従事者であり、また元医薬品研究者として、この言葉は多くのみなさまに問いかけたいものです。
決して脅迫ではなく、「きちんと副作用などの危険性を認識して市販薬を使用していますか?」「市販薬は気軽に飲んでも安心だと思い込んでいませんか?」と言い換えることができると思います。
この著書は、私のような医療従事者からすると、残念ながら専門的ではなく中身はやや薄いものでした。しかし、医療に全く知識のない方にはこれくらいの方が読みやすくて良いかもしれません。
しっかりとした科学的・統計学的なデータをもとに説得力のある説明されているという点では、この本より、三石さんの著書「医学常識はウソだらけ」や、内海さんの著書「薬が人を殺してる」を私はおすすめします。
よろしければ、下記の記事も読んでみてください。上のおすすめの2著書をもとにした記事になります。
→「喫煙は肺がんの原因となります」は嘘だった? こちらの記事
→「タミフルはカネのなる木」 こちらの記事
→「子供は受けない方がいいワクチン」 こちらの記事
女性の味方?頭痛や生理痛によく効く「ロキソニン」
今回ご紹介の著書からは、ロキソニンの危険性について記事にしたいと思います。
みなさん、このお薬、最近薬局などでもよくみかけるのではないでしょうか。「ロキソニン」といって、解熱鎮痛薬として売られているものです。
もともとは病院で医師の処方を貰わないと買えないお薬でした。こういったお薬を医療用医薬品といいます。
それが最近、薬剤師さんのいる薬局で誰でも購入することができるようになったのです。このようなお薬をOTC医薬品と言います。
ロキソニンは医療用医薬品からOTC医薬品にかわった、「スイッチOTC医薬品」とよばれるお薬ですね。
この本では、なぜこの薬がスイッチOTC医薬品になったのかといった説明などは全くされておらず、ただただ「ロキソニン」は怖い!病院におかれていたころは「劇薬保管庫で厳重に保管されていた危険なお薬だ!」と、不安を煽る記載をされていました。
私は、「なぜ劇薬なのか」
それにもかかわらず、「なぜOTC医薬品になったのか」
というところをきちんと説明することが大切だと思います。
医療用ロキソニンと市販薬ロキソニンsの違いは?
なぜ「ロキソニン」はスイッチOTC医薬品となったのか。その理由を少しだけ書いておきましょう。
まずこの本で書かれていた「ロキソニンは劇薬」についてですが、これは本当です。
みなさん、医療用医薬品は危険な薬が多いけれど、市販で買える薬はそんなに危険じゃないだろう
そう思っていたかもしれませんが、それは大きな誤解です。
ロキソニンは、今も医療用医薬品として医師も処方しています。そして先程から説明しているとおり、ドラッグストアで買える市販の「ロキソニンs」も存在します。
どちらも成分は全く同じなので、市販の「ロキソニンs」ももちろん劇薬です。
「劇薬」とは
作用が著しく、使い方を誤ると生命にかかわるもの。中毒症状を引き起こすもの。医薬品(薬)はほとんどが劇薬です。大量に飲めば中毒を起こしますし、致死作用もあります。
では医療用ロキソニンと市販のロキソニンsは何が違うのか?
それは、医療用医薬品のロキソニンと市販のロキソニンsは、成分は同じだけれど使い方が違うというだけのことなのです。
「頭痛や生理痛(ほかに歯痛)のために少量使用する」という用法、用量に限ってのみ、ロキソニンをドラッグストアで売ってもいいですよという許可がおりたのです。これがスイッチOTC医薬品の特徴です。
他にも「アルジオン」という鼻炎薬もスイッチOTC医薬品の代表ですね。
用法・用量が極めて限局されていることを、私たちはよく理解して、きちんと箱にかかれた用法・用量を守って使用しないと、思わぬ副作用に見舞われる可能性があるということです。市販薬は効かない、多めに飲んでも大丈夫というのは、本当に危険な考えです。
薬のカジュアル飲みで命を落とす
結局ロキソニンの何が怖いか・・・
それは、気軽に持ち歩いて
「痛みがあるとすぐに飲む」
「効かないから多めに飲む」
「すぐに効果が切れるから間隔をあけずに何度も飲む」
という薬のカジュアル飲みが蔓延してしまうことが、危険なのです。
市販薬ロキソニンsは、「少ない用量」での使用のみ認められているお薬です。量を多くして使用する場合は、医師の管理のもと使用しないといけないのです。
それにもかかわらず、医師の診断も受けず、自己判断で医療用ロキソニンと変わらない量のロキソニンを飲むとどうなるでしょう・・・
当然、強い副作用がでます。
病院でロキソニンを処方されるときは、必ず胃腸薬もいっしょに出されますよね。それはロキソニンのような非ステロイド系の炎症止め(NSAIDsといいます)は、胃腸粘膜に良くない作用を示すからです。
他にも肝障害など、多くの副作用が添付文書に書かれています。病院で処方される場合は、血液検査をして、そのあたりのリスクと照らし合わせて医師が使用量などを適切に指示しているのです。
胃腸障害なんて、大したことないと思いますか?
それは甘い考えです。
「痛み止め」というのは一度味をしめると手離せなくなる薬の代表なのです。頭痛や生理痛がひどいときは、本当はゆっくり休んで痛みを和らげるのが一番です。
しかし、痛み止めを飲むとスッと痛みが消えるため、私たちはついつい休むことをせず、自分の体の声をきくということを忘れて、無理な生活を続けてしまいます。
痛み止めを飲んでも、痛みの原因は決してなくなっていないのですから、無理をすれば痛みは一層ひどくなっていくはずですよね。
すると薬が切れたときには痛みが増してしまいます。
そうなってどんどん薬が手離せなくなり、使用量が増えたり、使用間隔が短くなったりしてしまうのです。
胃腸障害がすすむと、健康にとって一番大切な栄養の吸収ができなくなります。
また、胃腸粘膜は、炎症を起こしては修復してという過程を繰り返しているうちに、粘膜が隆起して腸閉塞を起こすこともあります。実際にロキソニンの副作用には、この致死性の「腸閉塞」が報告されています。
【まとめ】市販薬の危険性
市販薬だから「安全」「安心」というのは誤解で、その成分は医療用のものと全く同じであるということを再認識する必要があるという点について、わかっていただけたかと思います。
最近、かわいいピルケースに入れて、おしゃれにロキソニンなどの鎮痛薬を持ち歩いている女性も見かけますが、非常に危険な行為です。
ロキソニンのようなスイッチOTC医薬品は、市販されるようになったからと言って決してカジュアル飲みしてもOKのお薬ではないのです。
もちろん、これはスイッチOTC薬に限ったものではなく、風邪薬や鼻炎薬など市販薬全般に言えることです。
今日は「その1錠が脳をダメにする」という本から、市販薬の危険性についての記事をかいてみました。花粉の時期や、生理中、慢性的な頭痛もちなど、薬が手放せなくなってしまっている方々に参考にしていただけると幸いです。