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【キイトルーダ】オプジーボと同じ作用!?効果や副作用は?

投稿日:2017-05-23 更新日:

メルク社から発売「キイトルーダ」と「オプジーボ」のちがいとは?

キイトルーダ 添付文書

こんにちは、Michiです。今日も引き続き医学レポです。

これまで何度も紹介してきている、夢のがん新薬「オプジーボ(ニボルマブ)」に続いて、メルク社から「キイトルーダ(ペムブロリズマブ)」が発売されましたね。

日本での販売提携は、大鵬薬品と結んでいます。日本では2017年2月に承認、オプジーボに遅れること2年半で販売が開始されました。

メルク社はアメリカの製薬大手であり、販売力などはオプジーボの小野薬品とは比べ物になりません。いったいこの2年半の遅れを、これからどう取り返していくのか、見ものだといえます。

と、今日はそのようなビジネス面のお話ではなく、医学のレポートです。

「オプジーボ」と「キイトルーダ」の違いという観点で、キイトルーダというお薬についてみて詳しくレポートしたいと思います。

 

薬価はオプジーボとほとんど同じ!体重が66kgより重いか軽いかが分かれ道!?

肺②

まず、オプジーボとキイトルーダの一つ目の違いは、投与量の設定です。

【肺癌治療の場合】

オプジーボ:体重1kgあたり、3mgという投与量が設定がされています。したがって、体重が重い人はそれだけ薬代も高くなります。

キイトルーダ:誰でも1回200mgと決まっています。(一回あたりのお薬代が、一律3万9099円です。)

そのため、体重が重い66kgの人ではほとんど同額の医療費がかかります。66kgより重い人は、キイトルーダの方が治療費が安くなり、66kgより軽い人はオプジーボの方が治療費が安くなります。

 

適応症はオプジーボより少ない:悪性黒色腫(メラノーマ)と肺癌

続いての違いは、承認されている適応症の違いです。

オプジーボは現在、悪性黒色腫、肺癌、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、頭頸部癌に適応が承認がされています。

一方、キイトルーダは悪性黒色腫と肺癌のみです。オプジーボの適応症とかぶっていますが、キイトルーダの方が少ないですね。

つまり、現在悪性黒色腫と肺癌で、これまでオプジーボで治療を受けてきた人は、オプジーボからキイトルーダに切り替えることが可能になったということです。

この切り替えが進むかどうかが、キイトルーダの日本での売れ行きを左右することになりそうですね。

 

また承認されている適応症の違いではないですが、現在すすんでいる臨床試験の適応にも違いがみられます。

キイトルーダは、現在「乳がん」と「胃がん」の臨床試験を実施中です。

胃がんについてはオプジーボは今秋にも承認される見通しなので、またまた競合となりますが、もしオプジーボが無事承認されれば、キイトルーダは2番手となり厚労省の優先が受けられなくなります。そのため、オプジーボに続いて承認申請をできたとしても、大幅に時期が遅れてしまうでしょう。

一方、「乳がん」の承認については、キイトルーダがオプジーボより先に取得できる可能性が十分に残されています。もしキイトルーダが乳がんで先に承認がでれば、日本での市場拡大につながるでしょうね。

 

作用機序や効果、副作用のちがいは?

と、なんだかんだでビジネス面での比較に走りそうになってしまいましたが・・

ここからはまた医学的な視点で両者を比較していきたいと思います。

まず、先程も書きましたが、現在「悪性黒色腫」や「肺癌」の患者さんでオプジーボの治療を受けている人が、「キイトルーダ」に切り替えるというのは、薬価(体重換算)以外に、どういったことが理由になると考えられるでしょうか?

やはり、キイトルーダの方が「効果がある」あるいは「副作用が軽い」といった理由があれば、切り替えが検討されることになると思います。

そこで、オプジーボとキイトルーダの効果や副作用について、違いをみていきたいと思います。

 

まずは、一番の基本となる作用機序からです。

・作用機序

作用機序については、実はオプジーボとキイトルーダは全く同じです。

どちらも、T細胞という免疫細胞の表面に発現している「ちょっと休憩しなさいスイッチ(PD-1)」にフタをすることで、T細胞の働きを活性化させて、がん細胞をやっつけるという機序をもちます。

作用するスイッチも、作用のさせ方も全く同じです。

したがって、オプジーボが効かなかったからといって、キイトルーダに切り替えるということはあまり考えられなさそうです。

実際、臨床試験の結果では、オプジーボもキイトルーダも効果は約20%(治療を受けた2割の人で効果があった)という結論が出ています。どちらも治療効果にはかわりがないということです。

 

では、何か違いはないのでしょうか。

・抗体親和性

作用機序が同じでも、どの程度作用するかは違うかもしれません。その比較には、抗体親和性を見る必要があります。

抗体親和性とは

薬(抗体)がスイッチにくっつきやすいかどうかの指標です。親和性が高い=くっつきやすいということになります。

オプジーボとキイトルーダでは、実は抗体親和性がちがっています。

結論からいうと「キイトルーダ」の方が抗体親和性が高いです。

 

通常、抗体医薬品は、親和性が高いほど効果が高く、副作用が小さいということがいわれているます。

では、キイトルーダの方が効果が高いということでしょうか。

いいえ、抗体医薬品は抗体医薬品でも、「がん免疫薬」の場合はそうとも限りません。なぜなら、くっつく相手は、がん細胞そのものではなく、T細胞(免疫細胞)の方だからです。T細胞は体中のいたるところに存在します。

つまり、くっつきやすい→副作用が強くでる可能性も否定できないということです。

というより、そもそもくっつく相手が多いので、あんまり抗体親和性は意味がないかも!?というのが専門的な見方になります。

ということで、がん免疫薬の場合は「抗体親和性」の高さは、効果や副作用の目安にはあまりならない可能性が高いといえそうです。

 

※参考

「分子標的薬」のような、がん細胞に直接くっつく抗体医薬品(抗がん剤)の場合は、抗体親和性が高い方が、効果が高く、副作用が小さいと考えられています。

なぜなら、分子標的薬は、がん細胞に発現しているスイッチを攻撃するものなので、くっつきやすいということは、がん細胞をつかまえやすいということです。

また、くっつきやすいということは、他のよく似たスイッチとの区別がよくできるということでもあります。これは、副作用が出にくいということにつながります。

 

米国でのキイトルーダの売れ行きは!?

キイトルーダ

さて、ここまで医学的視点でキイトルーダとオプジーボの比較をしてきました。

では、最後は少しだけビジネス面のお話をしたいと思います。

結局、キイトルーダとオプジーボには、効果や副作用において大差がないということがわかったため、やはり後から進出してきたキイトルーダはオプジーボに勝ち目はないのでしょうか。

実は、この答えは“勝ち目はある”なのです。

実際に米国では肺癌においてオプジーボよりキイトルーダが優勢です。

なぜかというと、米国ではキイトルーダは「併用療法」というのが認められています。米国ではオプジーボも併用療法が認められています。

(日本ではいずれも併用療法は認められていません。)

 

米国でオプジーボに認められている併用療法は、作用機序のちがうヤーボイとの併用についてのみです。(詳細は、こちらの記事へ)

しかし、キイトルーダについては、ものすごい併用療法が認められているのです。

「キイトルーダ」+「アリムタ」+「カルボプラチン」

こんな使い方が可能なのです。

 

この併用療法のなにがすごいか?すごい理由は2つあります。

一つ目は、「キイトルーダ」単独では2割程度だった効果が、なんと併用療法では、効果が6割にアップすることが臨床試験で示されているのです。

そして二つ目のすごい理由は、併用療法なら肺癌の「第一選択薬」としてキイトルーダを使用することが可能なのです。

 

一つ目の理由はそのままです。

従来の抗がん剤に、がん免疫薬をプラスして併用治療することで、なんと効果が「6割」にものぼるという臨床結果がでているのです。治療をしても2割しか効果がないのと、6割の確率で効果があるのとでは、期待度も全くちがってきますよね。

 

そして、大きいのは二つ目の理由です。

実はオプジーボもキイトルーダも、適応症に「肺癌」があげられていますが、肺癌なら誰でも使用できるというものではありません。

「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」

正しい適応は、上記の通りです。

つまり、切除不能なほど進行してしまった肺癌や、再発してしまった肺癌が適応なのです。

肺に小さな癌が見つかった人、リンパ節に少し転移してしまった人は、オプジーボやキイトルーダなどのがん免疫薬は使用できないのです。

しかし、米国では、初期の肺癌治療に利用する「カルボプラチン」や「アリムタ」との併用でなら、キイトルーダを第一選択薬(これを1stラインといいます)で使ってもいいよ!という承認が出ているということです。

この併用療法を認めたことによって、より多くの肺がん患者さんが「がん免疫薬」を使用することができるようになりました。さらに、効果も6割とあっては、みな使いたくなるということです。

そんなこんなで米国では、断然、オプジーボよりキイトルーダが使用されているのです。

 

日本ではなぜ併用が認められない!?

では、どうして日本では併用療法が認められないのでしょうか。

これには諸説ありますが、やはり高い薬だからというのがあるでしょうね。

手術や、他の抗ガン剤でまだ治療できるうちは、わざわざ高い薬を使わないで欲しい・・・というのが本音だと言えるでしょう。

日本は国民皆保険の国です。

とくに癌治療は高齢者の受ける割合が高く、薬代の大半は健康保険で支払われているのが現状です。

若い働き盛りの人でも、自己負担は3割で、7割は国が負担しています。オプジーボのような高額医療の場合は、患者さんの負担限度額をもちろん超えますから、薬代の大半は国が負担していると言っても過言ではないのです。

米国では、オバマケアによって国民皆保険に近い制度ができましたが、今トランプさんによってまた元の医療制度に戻ろうとしていますよね。

米国は基本的には自由診療の国です。

治療を受けたい人は、自分で高額なお金を用意するしかないのです。その分、国の負担が少ないので、高額医療でもなんでも承認されやすいという現実があります。

医療の世界というのは、「患者さんのため」というきれいごとだけでは成立しないのが現実なのですよね。

 

それに、もしオプジーボやキイトルーダが、初期のがんでもなんでも使用できるようになったら・・・外科医や、従来の抗がん剤が不要になります。

彼らを守るという意図もあると思います。

日本の国民皆保険という制度は、このようにして守られているということですよね。

米国のような、お金のある人だけが医療を受けられるという制度も考え物ですが、一方で、日本のように保険財政の問題で、医薬品がなかなか承認されず、患者さんのもとに届かないというのもまた考え物でしょう。

しかし、私個人の意見としては、日本はやはりよい国だと思います。

なぜなら「お金がない人もある程度医療を受けることができる」し、「お金がある人は、自費診療でいくらでも承認されていない医療を受けることができる」からです。

実際にオプジーボの適応外使用というのも、日本で多く報告されています。

彼らは、年間何千万というお金を払って自費で治療を受けているのです。(オプジーボの適応外使用についての記事は、こちら

 

最後は、私自身も医療現場にいた人間として、少し医療の裏側についてお話してしまいましたが、今日のメインレポートは、オプジーボのライバル薬だる「キイトルーダ」についてでした。参考にしていただけると幸いです。

 

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