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【オプジーボ】注意しないといけない副作用(irAE)

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オプジーボで頻発する副作用「irAE」

オプジーボ

こんにちは、Michiです。今日は医学レポです。

急速に使用が拡大している免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」で頻発する副作用についてレポしたいと思います。

オプジーボは、T細胞とよばれている免疫細胞に作用します。

T細胞には、「どんどん働けスイッチ」と「ちょっと休憩しなさいスイッチ」というのがたくさんあって、がん細胞は「ちょっと休憩しなさいスイッチ」を押してT細胞の働きを抑制していることがわかってきました。

オプジーボは、その「ちょっと休憩しなさいスイッチ」をがん細胞に押されないように防御するお薬です。このスイッチにはいろいろと種類があるのですが、オプジーボはそのうち「PD-1」と呼ばれるスイッチを防御します。

つまり、オプジーボの作用は、T細胞を休憩させないようにして、しっかり働かせる(がん細胞を攻撃させる)というものです。

なんだ、T細胞ってすごい!!いい細胞だ!!どんどん働かせないと!!と思いますよね。でも免疫機構とは、そういうものでもないのです。T細胞が活性化されすぎると、今度は副作用が出てしまいます。

私たちの体というものは、絶妙にコントロールされてちょうどいい状態を維持できているのです。それがすごいところでもあり、難しいところでもあります・・・

少し前置きが長くなりましたが、今回はそんなT細胞の活性化にまつわる副作用についてレポートします。

 

免疫抑制機構の役割について

もともと、どうしてT細胞には「ちょっと休憩しなさいスイッチ」がたくさんついているのか考えてみましょう。「悪者」を攻撃する細胞なのなだか、休憩なんかしないで、いつもしっかり働いていた方がいいのではないか?と思いますものね。

しかし、みなさん、自己免疫疾患という病気はきいたことがありますか?

原因不明の難病・・・その多くが自己免疫疾患系だと言われています。

 

あるいは過敏症(アレルギー)という言葉はよく耳にしますよね?

アトピー、花粉症などなど、これらもはっきりとした原因はわかっていないけれど、悩まされている病気です。これらも免疫が関与しています。

 

免疫細胞は体をまもるために必要な機構であると同時に、免疫作用の結果病気になってしまうこともあるのです。その代表が上にあげたようなもので、これらは自分の細胞なのに免疫細胞が攻撃してしまったり、「ちょっとした異物」に免疫細胞が敏感に反応して攻撃しすぎた結果起こってしまう疾患です。

つまり免疫細胞が働きすぎてしまっているとも言えますよね。

免疫細胞は働きすぎても、休憩しすぎてもいけなくて、バランスよく働いていないといけないわけですよね。

そのバランスを調整するために「ちょっと休憩しなさいスイッチ」や「しっかり働きなさいスイッチ」がたくさんついていて、うまく調整されているわけです。

 

ガン細胞は、このスイッチを悪用して自分が攻撃されるのを防御し、どんどんと増殖していきます。

 

オプジーボによって悪用を阻止するだけなら、「よい効果」のみが得られることになりますが、悪用を阻止する以上に作用してしまい、T細胞が働きすぎ状態になるとどうでしょう。

今度は、自分の細胞までもが攻撃されたり、これまで攻撃していなかったようなものまで攻撃してしまいます。

その結果、自己免疫疾患やアレルギー関連の症状がでてしまいます。これが「副作用」と呼ばれるものですね。

 

オプジーボのような薬でがん免疫薬で引き起こされる免疫関連性の副作用のことを、専門用語でirAE(immune-related Adverse Events)とよんでいます。

オプジーボの添付文書をもとに、重要なirAEについてみていきましょう。

 

間質性肺疾患

 

 

まずオプジーボを使用するうえで最も注意しないとけないのは、「間質性肺疾患」です。肺は簡単に言うと、空気が入っている部分と、それ以外の部分にわかれています。

それ以外の部分を、間質といいます。

この間質には免疫細胞が存在するため、オプジーボにより免疫細胞が活性化された結果、間質の重要な細胞たちが攻撃されてしまい、炎症をおこします。

これが間質性肺炎です。

 

実は、オプジーボではこの「間質性肺炎」によって死に至ってしまった患者さんもいるということがはっきりと添付文書に記載されています。(※警告とはじめに赤字で記載されています)

オプジーボ

これは私の個人的な感覚ですが、免疫細胞によって肺の間質細胞が攻撃されることに加えて、オプジーボは肺がん患者さんに多く使われています。(オプジーボの疾患別使用割合は、こちらの記事参照

したがって、オプジーボ使用前に肺への放射線照射治療を受けている患者さんが多かったり、あるいはそのほかの肺癌適応の抗ガン剤にも「肺の間質細胞を攻撃する」という副作用をもっているものが多いため、これまでの治療が積み重なって、よりオプジーボ使用により「間質性肺炎」を発症するリスクが高いのだと考えています。

基本的には、免疫細胞は体中に存在するため、どの臓器もほぼ同等のリスクがあるという考えです。

実際に添付文書には、他にもさまざまな臓器でirAEが起こることが記載されています。

 

Ⅰ型糖尿病

すい臓 に対する画像結果

続いては、すい臓です。

知っている方も多いと思いますが、すい臓には2つの役割があります。一つは上の図のように、胃や肝臓、十二指腸などと隣接していることからもわかるように、「食べたものを消化する」という役割です。膵液という消化酵素を分泌しています。

もう一つの重要な役割が、血糖値のコントロールです。こちらは、すい臓のランゲルハンス島とよばれる部分の細胞が担っている役割で、「インスリン」を分泌して血糖値をコントロールしています。

オプジーボでは、すい臓の細胞も免疫活性化によって攻撃される可能性があります。消化酵素を分泌する細胞はすい臓のうち9割をしめていて非常に多いのですが、インスリンを分泌する細胞は数が少ない細胞です。

攻撃されてインスリン分泌が低下するとどうなるでしょう・・・みなさんよく耳にする「糖尿病」を発症します。

しかも、2型糖尿病のような「糖のとりすぎ」によるものではなく、インスリンが出ないことによる糖尿病は「1型糖尿病」とよばれており、インスリンを注射し続けないといけません。

オプジーボの副作用としてだけでなく、実際に「1型糖尿病」でつらい思いをされている患者さんはたくさんいますが、これも原因不明で自己免疫疾患の一つと言われていますよね。

 

 

内分泌障害(甲状腺機能障害、下垂体機能障害、副腎皮質機能障害)

甲状腺

続いても自己免疫疾患としてよく知られている「内分泌系障害」です。

みなさん、バセドー病ってきいたことがありますか?しっかり食べてるのになぜか体重がどんどん減ったり、ちょっと階段をのぼっただけで息が切れたり。

でも本人はすごくやる気がみなぎっていて目がギラギラ・・・こんな病気です。もちろん症状は人によってさまざまですが・・・

これは甲状腺というホルモンを分泌している臓器の病気で、やはり原因がはっきりしない自己免疫疾患の一つと言われています。

オプジーボによって免疫細胞が活性化し、この甲状腺を含む各種ホルモン分泌細胞(内分泌細胞)が攻撃をうけてしまう可能性があります。

その結果、甲状腺の細胞が破壊され炎症をおこします。これを「破壊性甲状腺炎」とよびます。細胞が破壊されると、いったんその細胞のなかにため込まれていた「ホルモン」がどっと体内に放出されます。

その結果、“甲状腺機能亢進症”といってさきほど説明したバセドー病のような症状が現れます。

しかしホルモンをつくる細胞は破壊されてしまったわけですから、その後ホルモンはつくられなくなります。そうして今度は“甲状腺機能低下症”となり、全く逆の症状がでてきます。やる気がおきない、体が重くてだるい、食欲がでない・・・まるでうつ病のような症状がでてきます。

こちらも1型糖尿病のときの同じで、細胞が破壊されてしまっているため今後回復する可能性は非常に低く、体内でつくることができなくなったホルモンを薬で補充していくしかありません。

 

大腸炎(免疫関連性腸炎)

大腸 に対する画像結果

最後に大腸炎です。

こちらも生活の質がおちてしまうという点で、非常に重要な副作用の一つですね。実際に原因不明の免疫関連性腸炎で、下痢がひどく電車にも乗れないと悩みを抱えている患者さんは多いです。

オプジーボによって免疫が活性化された結果、副作用として大腸炎が引き起こされる可能性もあります。

しかし、大腸炎の場合は、「1型糖尿病」や「内分泌障害」とはちがいホルモンを補充し続ける必要はありません。

ステロイド剤で免疫細胞の働きを抑えて、攻撃をやめさせれば、腸の細胞はよく増殖して復活しますから・・・時間の経過とともに回復することが多いです。

しかし、難点はオプジーボを再開するとまた起こる可能性が高いということです。「1型糖尿病」や「内分泌障害」の場合、軽度であればホルモンを補充しながらオプジーボの投与を継続できる可能性があるのですが、大腸炎は投与しながらのコントロールは難しいかもしれません。

 

 

オプジーボの副作用

以上、オプジーボ投与による需要なirAEを紹介しました。他にも、あらゆる臓器が免疫細胞による攻撃をうけますから注意が必要です。

例えば、免疫関連性の肝炎、免疫関連性の筋炎、関節炎(リュウマチ)、過敏症(インヒュージョンリアクション)など、重要な副作用が14こも添付文書に載っています。

オプジーボでの治療を検討していたり、家族が治療されている方は、目を通してみて下さい。

 

irAEはすぐに見つけて、オプジーボを中止し、ステロイド(免疫を抑える薬)で治療をすれば改善できる副作用です。その後、ステロイドをどこでやめるのか、またオプジーボの再開ができるのか、は医師とよく相談しないといけませんが・・・

少なくとも副作用で重篤な状態にならないよう、治療を受ける際はあらかじめどういった副作用がでるのか、初期症状はどういったものかについてしっかりと医師にきいておきましょう。

 

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