【トクホとは?】健康食品やサプリの正体
1つ前の記事では、“自然食品”についてまとめましたが、続いては“健康食品(トクホ)”や“サプリメント”などについて、その正体に迫りたいと思います。
関連記事:【無農薬・オーガニック】自然食品は本当に安心・安全なのか?
健康食品の中でもとくに最近ブームの“乳酸菌”ですが、その効果はどれほどなのでしょうか。また、“トクホ”と言われる機能性健康食品の実体、サプリメントの効果についてもみていきたいと思います。
【乳酸菌】巧妙なキャッチコピーで売れただけ!?
みなさん、一時期スーパーやコンビニの棚からヨーグルトが消えた!?なんてことがありましたよね。今もなお続いている「乳酸菌ブーム」ですが、こういった健康食品は、薬とは違って体に害もなく、効果だけがある良いものだと思っていますか?
実際に、食品の中には「トクホ」と呼ばれるいかにも健康によさそうなものや、「機能性食品」なんて呼ばれるいかにも効果のある成分が含まれていそうな食品ってよく見かけますよね。
今回は、そういった健康食品や、その成分をぎゅっと凝集したというサプリメントの正体について考えてみたいと思います。
健康食品やサプリメントはなぜ売れるのか?
それにしても、ヨーグルトなんてものはこれまでもずっとあったし、乳酸菌の存在もずっと知られていました。なぜこれらが、一気に売れ始めたのか?そこには、巧妙な宣伝手口にのせられているということを知った方が良さそうです。
【乳酸菌】キャッチコピーの妙
ヨーグルトだけでも、各社さまざまな商品があり、それぞれに巧妙なキャッチコピーがつけられています。
ヨーグルトだけでなく、乳酸菌飲料なども豊富なラインナップですよね。これらにも、それぞれキャッチコピーがつけられています。
上にあげたように、おなじような乳酸菌を含んだヨーグルトや飲料においても、実に多くのキャッチコピーがつけられています。
代表的なものを紹介するなら、
「ガセリ菌SP株入りヨーグルト」は、「内臓脂肪を減らす」というキャッチコピーがついています。
「カルピス」は「乳酸菌と酵母の生み出す力」というキャッチコピーがお馴染みですよね。
「ヤクルト400」は、これこそお馴染み「生きて腸で働く乳酸菌シロタ株」といったキャッチコピーが浸透しています。
私たちは、こういったキャッチコピーによって、乳酸菌の種類による働きの違いも知らないまま、本当に乳酸菌が生きたまま腸まで届くかどうかも知らないまま・・・ついつい購入してしまっているのですよね。
乳酸菌にいたっては、そのブームはきえることはなく・・・どんどん拡大しています。
最近はチョコレートにまで乳酸菌が入って、「機能性食品」をうたっていたり。
牛丼と一緒に飲む「とん汁」にまで乳酸菌を100億個も入っているとか!?
こんなにあらゆるものから乳酸菌ばかり摂取して、どうするのでしょうか・・・というのが私の個人的な意見です。
そもそも乳酸菌は便秘改善などにも良いとされていますが、それはあくまで脇役です。便秘の改善は運動や野菜(食物繊維)をとることが9割で、残り1割くらいの要因として乳酸菌による腸内環境の整備があるという程度です。
乳酸菌ばかりとっていても、腸内環境が整うわけではありません。本当に腸のことを考えるなら、食物繊維たっぷりの食材と、乳酸菌を組み合わせて商品開発がされるべきでは!?
乳酸菌だけをまるで神のように扱っているのは、大丈夫なのでしょうか!?
【トクホ】トクホは1度死んだ!?
次は「トクホ」についてです。
トクホとは、「特定保健用食品」といわれるもので、健康効果を思いっきりアピールしている食品や飲料などですよね。
最近よく見かけるのは、「お茶シリーズ」ですよね。
脂肪の吸収を抑えるとかなんとかで・・・
こんなデータが示されています。って、こんなデータ開示してもいいのですか?といってしまいそうですが・・・
なぜなら上にあげた3つのお茶とも、科学的に効果は示されていません。
私たちのように科学の世界で研究者としてやってきた人間なら、こんなグラフをみせられても、「え??」ととまどうくらいです。
だって、差がある(効果がある)と示すなら、きちんと有意差検定をして、そのグラフを示すべきなのです。
しかし、これでは有意差なんてつくはずがありません。検査の誤差範囲として、科学の世界なら「差がない(効果がない)」と証明されるような結果です。
私にしてみれば、どうしてこんなデータをもとに、まずくて高いお茶を飲まなきゃいけないの?という感じです。
トクホは一度死んだ・・・
みなさん、こんな風に言われているのをきいたことはありますか?
トクホについては、以前花王が販売していたトクホ商品の「エコナ」やその関連商品で、健康食品どころか、むしろ発がん性物質を生み出す可能性が高い成分が含まれていたということで、製造・販売自粛においやられた過去があります。
結局その後5年近く検証をかさねて、「ただちに発がんを促すなどの健康被害はない」といった結論を出したが、その間に「エコナ」は市場を失いました。
このとき、「トクホなんて・・」とトクホは一度死んだと言われています。
しかし、ここにきて、安全性に問題が起きにくそうな・・すなわち大して効果はなくて日常的によく摂取しているもので、少し効果をアピールして「トクホ化しちゃえ!」という考えのもと、トクホの第二ブームが起こっているというわけです。
その代表が、お茶や飲料ですよね。
しかし、最初から「大して効果がないもの」「ありふれたもの」をちょっと高く売るための戦略でしかないのですから・・・期待するだけ損と言わざるを得ません。
トクホは2度死ぬのか・・・・
そうしたら、3度目はあるのか?
今後の展開が見ものです。
【サプリ】怪しさに満ちたサプリの正体とは!?
さあ、スーパーフードも、トクホなどの健康食品、機能性食品も大して効果がないとなると・・・もう効果がある成分をぎゅっと詰め込んだサプリメントに頼るしかない!と思いますよね。
では、そんなサプリメントはどうなのでしょうか。
そもそもサプリメントは、まるで医薬品のような効果をうたっているものもありますが、医薬品のような厳しい研究開発、品質維持が義務づけられておらず、規制が緩い世界です。
したがって、品質はまちまち。
大手メーカーが結構な予算をかけて開発しているものもあれば、怪しいものもあります。とくにテレビ通販やネットで売られているようなものは・・・品質の保証ができません。
原材料費数%で大半は広告費と利益のみといったサプリも多く存在するのが現実です。
では、大手メーカー(ファンケルやDHCなど)が販売しているサプリは、効果もあり、品質もよく、安全か?というと・・・
例えば妊娠中の女性がよく摂取している「葉酸」のサプリメント。
これ、タブレットを「葉酸の塊」だとおもって飲んでいませんか?でも実際は、葉酸含有量はたった1%。1%未満のものすらあります。
つまり飲んだタブレットの大半は、必要のないものを摂取しているということです。薬などもそうですが、あの白い塊には、保存料、着色料、石油製品などのようなあらゆる添加物がふくまれているのです。よくプラスチックをのんでいるようなものと言われていますよね。
男性機能の回復に効果があるとされている「マカ」は!?
サプリと言えば女性を思い浮かべますが、男性がよく利用するサプリとして有名なのは、「マカ」ですよね。
「マカ」はたしかに強壮作用があり男性機能を活性化させる力があります。しかし、注目したいのは、それは大量に摂取すればよいというわけではないということです。
食品から自然に摂取する程度のマカで、十分に効果があります。
むしろ大量に摂取した場合の安全性などは全く確認されていないため…危険きわまりないと言えます。
今晩がんばりたいなら、サプリでマカを摂取するより、前日はしっかり寝て、夕食にうなぎでも食べて、リラックスしてベッドに入った方がよっぽど良さそうです。
私のカウンセリングでは、サプリを飲んでもダメといった男性が、心と体を整えるだけで男性機能を回復された方々もいます。
それでも難しい人は、品質が不確かなサプリより、医師に医薬品を出してもらうことをおすすめしています。
食の俗説を巧みに利用する「宣伝文句」に騙されない!
このようにみていくと、自然食品も、健康食品も、サプリメントも、お金をかけて摂取するほどのものではないことがわかってきますね。
各メーカーの宣言文句にのせられているだけ・・・ということですね。
結局健康は、「様々な食品をまんべんなく食べる」「ストレスをためない」「良質な睡眠をとる」といった基本的なことでしか保てないということですね。
ここに書かれている第一条
「健康食品の利用を、不適切な生活習慣の免罪符にしない」
これはものすごく大事なことだと思いました。
例えば「ウコン飲むから、大酒もOK」とか。
「脂肪吸収を抑えるお茶を飲むから、油物たくさん食べてもOK」とか。
「栄養ドリンク飲んで、眠気スッキリ」とか。
ウコン飲むより大酒はやめて、トクホ茶飲むより油物は適度な量にして、栄養ドリンクで眠気を覚ますのではなく毎晩質の良い睡眠をとる。これが健康の基本でしょう。