医療,ビジネス,子育て,恋愛,あらゆるテーマをレポ

MICHIYOレポ

がん 医学レポ

【がん消滅の罠】完全寛解の謎を詳しく解説【ネタバレ①】

更新日:

【岩木一麻著書】がん消滅の罠「このミステリーがすごい!」大賞

がん消滅の罠

こんにちは、Michiです。今日は書籍レポです。

このミステリーがすごい!大賞をとったこちらの本「がん消滅の罠」が、めちゃくちゃ面白かったのでレポートしたいと思います。ここ最近の中では、一番当たりでした!没頭してあっという間に読んでしまいましたよ。

どこがおもしろかったかというと、こちらの本、ただのミステリーではないのです。。

医師が監修しているんだろうなと思うくらい、ものすごく医学的な描写がリアルで、読むだけでがんに対する知識が深まります。

がんという病をミステリーの題材にするなんて、がんで苦しんでいる人やその家族にとっては腹立たしいかもしれませんが、この本はがん患者さんや、そのご家族の方にもおすすめできます。

なぜなら、とにかく「がん」への知識が深まるから。最新のがん治療(免疫治療)に関する知見もありますし、標的分子薬、副作用、治験の情報などなど、がん医療に関するさまざまな情報や用語などが非常にわかりやすく丁寧に説明されています。

また、ストーリーになっているため、実際の登場人物である医師の立場、患者の立場、その家族の立場、がん保険を提供する保険会社の立場・・・といった具合に「がん」という病に向き合うさまざま人々の様子を感じることができます。

ぜひ、興味を持たれた方は読んでみてください!

【こんな方におすすめ】医療従事者/医学の道を志す学生/自身や家族ががんを患っている方/ミステリー好きの方

 

※ここから先はネタバレなので、興味のある方はここでやめて、是非実際に本を手に取ってよんでみてくださいね。では、ネタバレいきます!

この本のミステリー(謎)は『末期がん患者の“がん”が突然消えること』

肺

この本は、『このミステリーがすごい!』の大賞にも選ばれている通り、カテゴリーとしてはミステリーです。がんに関連したどんなミステリーが描かれているのかというと、それはがん患者さんにとってはまさに夢のような出来事であり、生命保険会社にとっては疑惑であり、そして治療に関わった医師にとっては非科学的ともいえること。

それは、『末期がんで余命数か月の宣告を受けた患者が、次々とがんを克服し、ついには寛解状態となりすっかり元気になる』というミステリーについて書かれています。

一般的にどのがんも、末期と宣告されると余命はそう長くはないですし、何より末期状態からがんが消えるなんてことはまず99.9%ないことです。末期とは、原発のがんが、リンパや血液を介して遠くの臓器にまで転移してしまった状態ですからね。

今回、こちらの本にでてくるがんは、日本人のがん死亡率の上位にある『肺癌』です。肺癌というのは、リンパ節に転移したあと、脳や骨、皮膚、あらゆる内臓への転移が起こりやすいがんです。つまり、肺がんの末期の状態にある患者さんというのは非常に多いのですね。

そんな肺癌にかかった患者さん3人に奇跡のような出来事が起こり、その謎を解明していくミステリーです。

 

【謎のがん患者①】若い女性・肺癌・ステージⅣ(末期)

この本のプロローグもかねて、冒頭より謎のがん患者の一人目が登場します。主人公の医師が謎の患者に頭を抱える姿が描写されます。

こちらのがん患者さんは、若い女性。若くして肺癌のステージⅣです。動脈や食道に転移しており、放射線治療もできないような、まさに末期の状態でした。

医師は仕方なく「抗がん剤治療」を勧めたのですが、彼女はそれを拒否し、なぞの宗教団体がすすめる自然食品で治療すると言い出したのでした。

それから数か月後、彼女が再び病院を訪れ検査をしたところ、なんと。がんがきれいさっぱり消えていたということです。余命数か月の宣告をうけた末期がんにもかかわらず、あやしげな宗教団体がすすめる民間療法で、『がん完全寛解』という結末です。

 

実はこの一人目の患者さんの「がん消滅の罠」は、何ともしょうもないトリックです。

完全にネタばれですが、彼女は一卵性双生児で、片方が末期がん、片方が健康だったのです。最初に病院を受診した女性は、正真正銘の末期がん患者の方。そして、数か月後に彼女の保険証を使って受診したのが、双子のもう片方だったという結末です。

 

なぜ彼女たちがそんなことをしたかというと、それはその怪しげな宗教団体のためだったのです。

まさか双子のトリックが使われているなんて思いもしなかった医師は、「末期がん患者が、民間療法で寛解した。」という事実を、肺のCT画像結果をもって説明しました。

するとどうでしょう。

宗教団体は「あの有名ながんセンター○○医師もあきらめた末期がんが!我々の民間療法で、奇跡の寛解!」と大々的な広告に使ったというわけです。がん宣告を受けられた方や、そのご家族ならわかると思いますが、“がん”しかも“末期がん”という宣告を受けると、まるで人生が終わったかのような気持ちになります。

そんな方々にとって“奇跡が起こった”と言われると、一か八かでその民間療法やらにすがりたくなってしまうものなのです。それが、有名ながんセンターの医師も驚いた!なんてきかされたら、藁をもつかむ思いです。そんな心理を巧みに利用して、効果のない民間療法で儲けようというたくらみでした。

双子の姉妹は、この宗教団体に入れ込んでおり、そして病までも宣伝に利用されたのです。

 

この一人目の患者さんは、何ともあっけないトリックでした。こちらの本のつかみを説明するために出てきたようなものでしょう。本格的なミステリーはもちろん2人目の謎の患者さんからです。ここからは、双子トリックなどのような甘いものではなく、本当に科学的にがんが完全に消滅してしまうというミステリーのはじまりです。

2人目のがん完全寛解のなぞの解説については、こちらの記事へ。

 

余談ですが・・・

この一人目の話の中で、医療従事者として私が気になった点が二つあります。

1つは、日本の保険証についてです。

顔写真もなく、他の身分証明書の提出なども要求されないため、別に双子ではなくても、いくらでも替え玉受診ができますよね。

今回は、あやしい宗教団体の広告ネタにされたわけですが、例えばがん保険の給付詐欺や、そこまではいかなくても、健康保険代を払わずに他人の保険証を借りて病院を受診しているという人はきっと世の中に多くいるのだろうな・・・と思いました。

そしてもう1つは、CTなどの画像検査の精密さです。

CTは人を輪切りにした状態での断面を観察することができます。最近はその精度が格段にあがり、どんな小さながんも見落とさないようになってきました。

しかしその反面。あまりにも細かく断面をスライスすることで、全体像がつかめなくなってきてしまっているという点が気になりました。

まさに木を見て森を見ずということでしょうか。

今回の双子の場合も、スライスの幅を大きくすると、実は血管の走行などが見え、双子でも全く違っていたらしいのです。しかし、医師はがんを見ること、小さながんを見つけ出すことに集中してしまっており、特定の部分だけを細かくスライスして観察していました。その結果、全体像をとらえておらず、二人の血管走行の違いなどに気づかなかったということです。

研究者や何かをつきつめていく過程では、こういった視野が狭くなってしまう瞬間があります。俯瞰することの大切さ、は医療や研究だけでなく、ビジネスや人間関係などにも言われることですが・・・改めて感じました。

 

すみません、少し話題が逸れました。がん消滅の罠『謎その②』は、こちら

 

アドセンス関連広告

-がん, 医学レポ
-

Copyright© MICHIYOレポ , 2018 All Rights Reserved Powered by STINGER.