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【がん消滅の罠】完全寛解の謎を詳しく解説【ネタバレ③】

投稿日:2017-08-11 更新日:

【岩木一麻著書】がん消滅の罠「このミステリーがすごい!」大賞

がん消滅の罠

こんにちは、Michiです。今日は書籍レポです。

さて、ここ2回連続でレポしてきた“このミス大賞”の最終レポになります。

最後は、3人目のがん完全寛解の患者さんについて詳しく説明したいと思います。3人目は、これまでの女性たちとは違ったタイプになります。双子でもなければ、シングルマザーでもありません。

しかし、2人目の女性と一つ共通しているところがありました。それは、例のあやしい病院に通っていたということです。

実はあの例の病院は、がん検診が人気の病院でした。他の病院では見つけられなかった、どんな小さながんも見つけてくれる!しかも小さなうちに見つければ、承認されていないが独自の研究で編み出した“薬”で、寛解してくれるという評判が、口コミで広がっていたのです。

ただし誰でも受けられる治療ではありませんでした。

その理由は、国が承認していない治療ということで、保険適用外(自由診療)なのです。そのためその病院が独自に設定した多額の治療費がかかってしまうのです。

そんな理由から、この病院でがんの治療を受ける人は、みな富裕層ばかりでした。

富裕層とは社会的地位の高い人たちです。

例えばどこかの会社の社長、役員。一般の会社員でもかなり重役の人になります。

公務員なら国家公務員。

さらには国会議員などの政治家。

そして、忘れてはならないのが、反社会的な人たちです。

彼らに共通することは、『お金持ち』という点だけではありません。

『がんが見つかっても、なかなか公表できない』という共通点があります。

この病院は、そんな地位の高い人の弱点(秘密にしておかないといけない)を利用して、悪事を働いていたのでした。

彼らからは悪い噂が広まらないという自信があったのです。

 

では、ここからいよいよ3人目の患者さんの謎について解説します。ここからはネタバレですから、これから本を読みたい方は読まないでくださいね。ぜひ、実際に本を手に取って読んでみてください。

【こんな方におすすめ】医療従事者/医学の道を志す学生/自身や家族ががんを患っている方/ミステリー好きの方

 

 

【謎のがん患者③】厚労省幹部・超初期の肺癌→手術→再発→寛解→再発→寛解・・・

悪い医者

最後の男性は、この病院で超初期の肺癌が見つかった中年男性です。

彼は厚労省の幹部であり、医薬品の承認申請などの仕事に従事していた人でした。

厚労省とは、日本の医薬品の承認申請を一事業としている省庁の1つです。医薬品は、製薬会社や大学、研究機関などが動物実験や、臨床試験(人間に飲んでもらう研究のこと、治験ともいう)を行い、安全性と効果を見極めたら、そのデータを厚労省に提出し、新薬の承認を申請します。厚労省が承認すると日本国内で保険適用で治療が受けられるようになります。

彼は、超初期の肺癌がみつかった当初、医師からはこのように告げられていました。

超初期だから手術で取り除けばほぼ転移の心配も再発の心配もないです。うちで手術をうけてください。万一、再発しても、我々の病院では独自治療で治すことができますので安心ですよ。

この言葉を信じ、彼はこちらで手術をうけました。

そしてその後。

最初の検査では、再発もなく元気に過ごせていました。

しかし、しばらくして再検査を受けると、なんとまさかの再発。取り乱しそうになる彼に対して、医師は落ち着いてこういいました。

再発は大変残念です。しかし、実は幸いにも、手術で取り出したガンを培養して、試験管内で我々が独自にあみだした「治療」の効果を検証しておりました。○○さんのがんは、非常に高い効果を示すことが示されています。だから大丈夫ですよ、安心してください。

こんなことをきけば、再発して動揺している患者にとっては神の救いですよね。

彼はこの病院で、再発の治療も受けることにしました。

しかし、この患者さんは、このまま二度とこの病院から離れられなくなってしまったのです。

その理由は、独自治療で再発したがんが解しても、またしばらくすると再発が見つかり独自治療をうけないといけない…といった繰り返しに陥ったからです。

ちなみに彼が治療をうけている途中、この病院で自分とよく似た境遇の初老男性に出会いました。

その初老男性もまた、同じように超初期の肺癌が見つかり、そして手術を受けたが不運にも再発。

しかし、その後独自治療で状態を維持しているということでした。

その男性は、風貌に貫禄があり、気質の人間ではないことは外見からもわかったようです。いわゆる反社会的勢力のボス(親方)に当たる人でした。

これが、何を意味しているか・・・ここも医療に関するところではないので、今回は書かないでおきますが、この初老男性もミステリー内で重要な役割を担ってきます。

気になる方は、ぜひ本を読んでみてください。なかなか深いミステリーなのですよ。

【こんな方におすすめ】医療従事者/医学の道を志す学生/自身や家族ががんを患っている方/ミステリー好きの方

 

 

【最後のトリック】遺伝子工学?癌の再発と寛解がスイッチ一つで操作できる現実

さて、最後の患者さんで、解明すべきトリックは3つあります。

1つ目は、なぜ手術して全て取り除いたのに、再発したのか?

2つ目は、独自治療でなぜ再発したがんを寛解できるのか?

3つ目は、寛解したはずのがんが、なぜ再び再発し、それを繰り返すのか?

ここからは、この3つの謎について解説したいと思います。

 

【手術したのに再発した理由】手術は不要だった?病院側は患者の細胞が欲しかっただけ

研究者

この病院が使っていた3人目の患者へのトリックは恐ろしい物でした。

 

今回の患者は、ごくごく初期のがんが見つかり、手術にて取り出していました。

この病院は取り出した男性の肺癌細胞を培養し、その細胞にある遺伝子を組み込んで培養していたのです。

そして、男性が術後の検査を受けに来た際に、「術後の回復を早めるために滋養の注射をしましょうね」なんて、簡単な治療とみせかけて、培養した遺伝子工作した細胞を彼の体内に再注入していたのでした。(これが、超初期ガンが術後に再発したトリック)

そして、この細胞に細工していた遺伝子工作とは・・・細胞にスイッチを組み込むという操作でした。

このスイッチについて少し詳しく説明すると、ある物質があるとがん細胞は自滅(アポトーシスといいます)するというプログラムを遺伝子に組み込んでいたのです。

 

この患者さんの体内には、術後、このスイッチつきがん細胞が再注入されてしまっていました。

手術から数か月間はこのスイッチをオンにしていたため、がんは自滅して増殖しません。

しかししばらくして、このスイッチをオフにしたらどうなるでしょう。

ガン細胞が自滅せず、増殖していきます。

そんな頃に患者さんが、再発の有無を確認するための検査を受けたとしたら、当然まさかの再発ありとなるわけです。体内にがん細胞がみつかりました、肺に影がありますね・・・といった具合の診断結果になりますよね。

彼は、事前に『超初期では転移や再発はほぼ心配ない』と言われて安心して過ごしていたはずですから、検査で再発が見つかったら・・・愕然としますよね。

そこで神の声の登場という流れです。

「大丈夫ですよ。○○さんのがんには独自療法がよく効くことがわかっていたじゃないですか。すぐにその治療を開始しましょう。」と。

そうして、その独自療法というものを受けた途端、がんはみるみる消えていきます。

この再発したがんが消えるトリックはもうおわかりですよね。再びスイッチをオンにしてがんに自滅してもらうだけです。

 

しかししばらく治療をうけないとまた再発してしまう…(つまり、スイッチを再度オフにするということです)

当然また独自治療をうけ、がんは消える。

こうなると患者さんは、この病院に不信感を募らせるどころか、まるで信者のようにすがってしまいます。

そうして、この病院は、患者さんから高額な医療費を集めると同時に、患者自身を自分たちの手の上で転がすことに成功するのです。

 

【この病院の目的】高額な医療費?慈善事業?真の目的とはいったい…

お金 札束さて、全てのトリックを解明したところで、最後にこの病院は、なぜこのような悪事に手を染めたのでしょうか。

2人目の謎の段階では全くその理由がわからず、シングルマザーを助けるための慈善事業?とすら思えたのですが…

3人目でその理由が一目瞭然になりましたよね。

お金。

そう、独自治療という名の高額な医療費を患者から巻き上げるため・・・

 

と考えませんか??

しかし、この怪しい病院の目的は、お金でも慈善事業でもなかったのです。

その目的は全く別のところにあったのでした。これはもう想像ができないような、全く想定外の動機でした。

 

『なぜ、取り除いた癌をまた患者の体内に戻すのか。』

 

『なぜ、シングルマザーと厚労省勤務の男性、さらには病院で出会った反社会的勢力のボスがターゲットになったのか。』

 

『なぜ、この病院では超初期のがんを見つける検診がおこなわれていたのか。』

 

『なぜ、シングルマザーはこの本の主人公の医師が勤務する“がんセンター”に紹介されたのか。』

 

『誰がこの細胞培養や遺伝子工作を行っていたのか。組織的な犯罪なのか。』

 

この本にはものすごいミステリーがたくさん仕込まれています。

私が解説したのは、あくまでも医学的な謎の部分についてだけであり、この本にはもっと奥深い謎があるのです。

二重、三重のミステリーであり、そこが最高に面白いところでした。

“このミス!”大賞に選ばれたのもわかります。

 

最後も余談を少し・・・

この遺伝子導入という技術も、実は全くのフィクションではなく、実際に既に医療として実施できるところまできています。

1人目は科学とは全く関係のないトリックでしたが、2人目のトリックといい、3人目のトリックといい、これらはもう非科学的なフィクションではないというところに私は恐ろしさを感じました。

医学の進歩によって、癌を含む多くの病気が治るようになることは嬉しいことです。しかし一方でこんな人体を使った詐欺行為ができてしまうということです。

再生医療や体外受精、代理出産、クローン作製などなど・・

医学の進歩によって、様々な倫理面での問題が出てきています。

人として高い倫理観をもっていなければ、医学の発展は思わぬ悪用をされかねないということでしょうね・・・

 

ここまで3記事にわたってネタバレで「がん消滅の罠」について、感想と解説をしてきましたが、こちらの本は、ものすごく分厚く、紹介したのはほんの一部分だけです。(医療に関係する部分だけです。)

以下に、この本のミステリーをとくためのキーワードを挙げておきます。

この中に興味のあるワードが見つかった方は、やはりぜひ読んでみてほしいと思います。

キーワード

恋人、不貞行為、精子バンク、妊娠、血の繋がり、親子、腫瘍崩壊症候群、教授(恩師)と生徒・・・

うーん、このあたりが重要な鍵を握るキーワードでしょうか。

もうすぐ映像化もされるみたいですね。

ぜひその前に原作をどうぞ!

 

【こんな方におすすめ】医療従事者/医学の道を志す学生/自身や家族ががんを患っている方/ミステリー好きの方

 

※テレビドラマ化もされたようです。

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