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【がん免疫の新薬】小児白血病を適応とした新しいがん免疫薬「キムリア」が米FDAで承認!なんと1回の治療費が5000万円以上!

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【がん免疫】いよいよ新薬がアメリカFDAに承認されました!

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21世紀のがん治療において、「がん免疫薬」の登場は大きな出来事になるでしょう。これまで、小野薬品のオプジーボ(ニボルマブ)、ブリストル・マイヤーズ(米国製薬メーカー)からヤーボイ(イピリムマブ)、そしてメルク(米国メーカー)からキイトルーダ(ペムブロリズマブ)と3薬が登場しています。

 

このうち、オプジーボとキイトルーダは、PD-1という免疫防御システムを阻害して免疫を亢進させる機序のお薬です。

ヤーボイは、CTLA-4という免疫防御システムを阻害して免疫を亢進させる機序のお薬です。

これらの「PD-1」や「CTLAA-4」は人間の体内にあるT細胞に発現している膜蛋白なので、つまり上記3つの薬品は、T細胞の働きを活性化させるという点では、共通しています。

 

そして、今回新たに承認された「キムリア」は上記2つの機序とはまた異なる機序で免疫を強化させるということです。

 

【キムリア(Kymriah)】作用機序、適応、副作用など

ノバルティス に対する画像結果

まず「キムリア」はノバルティス(スイス製薬メーカー)から販売されたお薬です。ノバルティスは、世界1、2位を争う超巨大メーカーです。

日本の小野薬品などとは比べ物にならない圧倒的な規模で営業力をかけてきますから、今後適応が広がっていくと、大きくシェアをのばす可能性もあると思います。

 

では、「キムリア」の作用機序について詳しく紹介します。

「キムリア」は、これまで承認されているがん免疫薬のような抗体薬ではなく、細胞治療といったたぐいのものになります。患者さんのT細胞を取り出して、そのT細胞を培養、培養して増やしたT細胞にがん細胞を識別するマーカーのようなものを覚えさせます。

そのあと、体内にその増やしたT細胞(がん識別能力を有したT細胞)を戻すのです。

すると、T細胞はがん細胞を素早く見つけがん細胞をやっつけるというしくみですね。T細胞にがん細胞を殺させるという点では、これまでの「がん免疫薬」と同じなのですが・・・

これまでは全身のT細胞を活性化させてしまうため、免疫関連の副作用があらゆる臓器で発現してしまう傾向にありました。また自己免疫疾患をもっている人では使用がむずかしいといった点もありました。

→オプジーボやヤーボイ、キトルーダの免疫関連性副作用については、こちらの記事

 

一方の「キムリア」は、T細胞の活動を活性化させるというよりは、特定のがん細胞を「見つけやすくする」という機序なので、どちらかというと分子標的薬のような傾向もあります。しかしただ単に抗体をがん細胞に届けるわけではなく、そのがん細胞に届いた抗体には、もれなくT細胞がくっついてきているということですので、分子標的薬とがん免疫療法の両方の良いところをとったようなお薬と言えそうですね。

 

現在承認されている適応と今後の見通しは?

今回「キムリア」は、小児白血病の治療薬として承認されました。なんと8割以上でがんが縮小したという非常に高い効果をもって、承認されたそうです。

現在、ノバルティスは日本でも臨床試験を実施中ではあるようですが、まだ申請にはいたっておらず、当分日本で承認されるということはなさそうです。

それなら自費で受けるには・・・と考えたところで、とてもじゃないですが自費でキムリアの治療を受けるのは難しいでしょうね。

というのも、1回使用で「5200万円」という超高額な薬価が設定されました。

つまり日本で保険適応外で、この「キムリア」の治療を受けようとすると、5200万円以上必要になります。

 

なぜこれほど薬価が高いのか。これは、適応が「小児白血病」というごくごく限られた適応だからこそついた薬価でしょう。オプジーボのときも、メラノーマというごく限られた適応だからこそ、年間3000万近い薬価がつきました。

しかし適応が拡大されて、肺がんというものすごく患者さんが多い疾患に使用できるようになったとたん、日本の財政破綻を引き起こしかねない事態となり、すぐに薬価改定が行われました。

 

この超高額な薬価がついた「キムリア」が日本で承認されるのか、また適応拡大がされるのかは・・・なかなか財政面も含めて難しい問題があるのではないかと思います。

 

しかし、この「キムリア」と同じ作用機序の薬剤を、日本の第一三共が海外メーカーと提携して開発をすすめています。高額であることはもちろんかわりありませんが、競合品が増え、適応が拡大すれば薬価はさがります。ぜひ必要な方々に薬が届く日が来るとよいですね。

 

最後に、「キムリア」で想定される副作用にはどういったものがあるのでしょうか。

日本での承認がまだのため、添付文書はございません。つまり日本人における副作用情報などは確認できません。そこで日本の添付文書に相当するものが米国にもあり、FDAのHPで検索したのですが残念ながらHITしませんでした。→更新され次第、こちらで詳細説明を記載します!

 

ということで、ここでは想定される副作用を考えてみます。

まず最も心配なのは、T細胞由来の副作用ですね。T細胞は活性化されると大量のサイトカインを放出します。つまりどんなにがん細胞だけをみつけるような目印をつけていたとしても、がん細胞にたどりつき、T細胞が活性化されると、大量のサイトカインを放出することになります。

このサイトカインは、さらに他のサイトカインの分泌を誘導したりとカスケード式に全身の炎症反応を活性化させてしまいかねません。つまり全身でがん細胞とは非特異的な炎症が引き起こされかねません。実際にがん免疫療法ではこのようなサイトカイン・リリース・シンドローム(サイトカイン放出症候群)と呼ばれる副作用が多く報告されていますよね。要注意です。

他には、腫瘍への攻撃力が強いことから「腫瘍崩壊症候群」のリスクも高いと考えられます。腫瘍崩壊症候群とは、腫瘍細胞がいっきに攻撃を受けて死滅することで起こります。効果が高いという嬉しい現象の反面、時に命に関わるほど重篤な病態を引き起こしてしまいます。

→腫瘍崩壊症候群の詳しい説明は、こちら

 

 

がん免疫の新薬【キムリア】

現時点では「キムリア」の詳細はわかっていませんが、ひとまず新たな「ガン免疫薬」が世の中に出たというのは、大きなニュースでしょう。今後もがん免疫の分野では、続々と新薬開発が進められていますし、既存のがん免疫薬の適応拡大もすすむ予定です。

新たな情報が出次第、情報提供したいと思います。

 

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