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【がん代替療法】標準療法と比べて死亡率5倍!?の真実

投稿日:2017-11-05 更新日:

【がん宣告】ショックで判断力がなくなったところに忍び寄る「詐欺まがいの高額治療」

がん代替療法

こんにちは、Michiです。今日は医学レポです。

早速ですが、今月のダイヤモンドの1コラムに、こんな怖い記事がございました。

“がん代替療法は、がん標準治療を受けた場合と比べて、死亡率が5倍になることも”という注意喚起の内容です。

がん研究に携わってきたものとしては見過ごせない記事タイトルです。

初めに言っておくと、私はがん代替療法に対しては「中立」という立場ですので、賛成も否定もしません。

このような前置きをさせていただいた上で、さっそくこの記事の中身の紹介と私の見解をレポートしたいと思います。

 

そもそも「がん標準治療」って何!?

がん標準治療

今回の記事では、がんと診断された後に「標準治療を受けた場合」と「それ以外の代替療法を受けた場合」の5年後生存率が比較されています。

まずは、この比較対象となっている「標準治療」とはいったい何でしょうか。そこからご説明したいと思います。

がんの治療方法は、がん毎に「診療ガイドライン」というものが各学会監修で刊行されています。このガイドラインにのっとった治療が「標準治療」というものです。

ガイドラインにのっているということは、つまり厚労省が認めた(日本で承認されている)治療法ですので、当然保険が適用されます。

 

例えば、肺がんの診療ガイドラインについてみてみましょう。

肺癌診療ガイドライン 2017年版 IV期非小細胞肺癌薬物療法
日本肺癌学会 金原出版 2017-12-21
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こちらは、日本肺癌学会が刊行している「肺癌診療ガイドライン 2017年版」です。毎年刊行されるので、医師および病院には常に最新のものが置かれてあります。

医師というのは資格をとればOKというものではなく、常に勉強し続ける必要がある大変な職業です。

話を戻しましょう。

がんには病期(ステージ)というものがあり、Ⅰ~Ⅳ期に分類できます。

肺癌の場合のステージは、さらに細かい分類があるのですが、大まかには下記の通りです。

Ⅰ期:転移なし

Ⅱ期:ごく限られたリンパ節にのみ転移がある

Ⅲ期:縦隔や気管など肺周辺の組織に転移がある

Ⅳ期:他の臓器に転移(遠隔転移)がある

ガイドラインでは、このそれぞれの病期ごとに受けるべき治療が示されています。

たいていのがんでは、Ⅰ期、Ⅱ期の場合は、外科的切除(手術)が第一選択であり、Ⅲ期以降では化学療法がメインとなります。

また化学療法と合わせて、放射線療法を治療や予防の目的で実施することもあります。これらの、手術、放射線、承認されている化学療法といった治療法が、いわゆる標準治療とよばれるものです。

 

【がん代替療法】とは!?

がん代替療法②

標準治療について、何となくわかっていただけたでしょうか。

では続いて、今回やり玉に挙げられている「代替療法」とはどういったものがあるのでしょうか。説明していきたいと思います。

こちらは、簡単にいうと標準治療以外の「がんに効果があるとうたわれている治療法」を指します。民間療法などともいわれるものです。

抗がん作用を示すことが期待される成分を含んだサプリメントや食品であったり、マッサージや〇〇風呂といったものもあれば・・・

医療機関で医師が行う(日本では承認されていない)免疫療法だったり・・と本当にいろいろです。少し詳しく紹介したいと思います。

 

【保険外診療】最先端のガン免疫療法!?

がん代替療法③

医師が行う医療行為の中で、がん民間療法の代表といえるのが「免疫療法」です。

これまで、「がん免疫療法」はどちらかというと“ちょっといかがわしい”というようなイメージをもたれていました。

しかし、がん免疫療法は、今や標準治療の仲間入りを果たしています。

あの“夢の新薬”として厚労省にも承認され、多くの人が使用している小野薬品の「オプジーボ(ニボルマブ)」は、まさにがん免疫療法の一つです。

また、日本では承認されていないが、欧米では承認されている免疫療法などが多くあります。

これまで“いかがわしい”といわれていた「がん免疫療法」は科学的に、統計学的に「効果がある」と実証されたわけです。

ただし、気を付けないといけないのは、日本人での安全性や有効性について、きちんと国の定めた方法によって示されていない治療法が「自費診療(代替療法)」として提供されているという事実です。

安易に治療をうけると思わぬ副作用がでたり、高額にもかかわらず効果がないといったことも起こり、近年問題になっています。

 

【健康食品】サプリメントや海草も!?

がん代替療法④

もっとお手軽な「代替療法」としては、サプリメントや食品が挙げられます。

いつの時代も、抗がん作用を示すと話題になっているものが多く存在しますよね。

例えば、ここ最近の話題は「乳酸菌」、海藻からとれる「フコイダン」など、みなさん聞いたことがあるのではないでしょうか。

当然ですが、これらの健康食品やサプリメントでは、医薬品のような効果や安全性は全く保障されていません。

では、なぜ「がんに効く」というキャッチフレーズで売り出されているのでしょうか?

その根拠を確認すると、

例えば細胞レベルの実験でがん細胞を攻撃したとか・・・

統計学的なデータで、この食品を多く食べている人でがんの発症率が低いことがわかったとか・・・

そういったデータを根拠に「抗がん作用」をうたっているものがほとんどだと考えてよいでしょう。

もちろん細胞レベルの実験データであっても「科学的根拠」の一つであることは間違いないですし、「統計学的データ」も立派な根拠の一つになります。「効果がない」とは決して言えません。

ただし安全性の保障や、払った金額に値するほどの効果があるかというと、そのあたりはしっかりと検証されていない場合がほとんどです。

 

【疾患別5年生存率】標準治療と民間療法の比較

がん代替療法⑤

それでは結局、今回のダイヤモンドに記載されていたコラムは何を示したかったのでしょうか。

このコラムの内容は、癌が発覚した後に「標準治療を受けた人」と「標準治療を受けずに代替療法のみで過ごした人」では、5年後の死亡率が後者のほうが高かった、というデータを示しているにすぎません。

抗がん剤の承認申請時に、「効果」の指標の一つとしてあげられるのが“生存期間の有意な延長”ですので、たしかにこのデータからは「標準治療」の方が「代替治療」よりも優れているという考察にもっていくこともできると思います。

しかし、「代替療法は効果がない」という結論には結びつきませんし、一方で「標準治療をうければ5年は生きられる」というわけでもないです。

私はこの記事のタイトルのつけ方は、医学や科学に精通していない方々に誤解を与えかねないもので、あまり賛成できません。

 

ということで、医学的知見に基づいてここからは私がもう少し掘り下げて検証したいと思います。

まずは、癌が発覚した後に「標準治療を受けた人」と「標準治療を受けずに代替療法のみで過ごした人」では、5年後の死亡率が後者のほうが高かったというデータについて、私の見解も交えながら詳細をご説明します。

 

乳ガン

乳がん

この記事では、乳がんが見つかった患者さんで、「標準治療」を受けた人に比べて、「代替療法」を受けた人では、死亡リスクが5.7倍になったと書かれていました。

どんな代替療法を選んだかということが全く書かれていないためわかりませんが・・・乳がんの標準治療は、まず何より“切除手術”です。そして、放射線治療、抗がん剤治療、ホルモン療法などがガイドラインで定められています。

一方、効果があるとうたわれている代替療法には、乳がんに特化したものはなく、やはり免疫療法から始まり、より手軽なサプリメント(フコイダンなど)や、さらに女性の患者さんが多いことから酵素風呂やヨガといった「抗がん作用」というよりは、ストレスを発散して心と体を整えるような方法も“乳がん予防や効果がある”というような口コミで広がっています。

免疫療法は少し別として、他の代替療法は科学的根拠のないものがほとんどです。

そのため、「標準治療」と「代替療法」の効果の比較というよりは、「標準治療を受けた場合」と「とくに治療をしない(医療行為を受けない)場合」の比較と考えたほうが良いかもしれません。

ここからは、私の全くの個人的な意見なので聞き流していただきたいて結構ですが、私はこの結果をもって、「やっぱり標準治療を受けないと」とは結論づけられません。

なぜなら、この比較はあくまで“生存率”という指標でしか比較していないからです。

たとえ命が続いても、乳房を切除したり、抗がん剤の副作用に苦しみ続けたり、ホルモン療法で精神状態が不安定になったりしながら長く生きるより、ヨガをして心と体を整えながら過ごしたほうが、たとえ寿命が短くなっても良いのではないか、というのも1つの考えだと思うからです。

それくらい、乳がんの標準治療は心と体に大きなダメージを与えるものでもあると思いますので、「死亡率」だけで優劣を比較するのは難しいです。患者様それぞれの気持ちを考慮すべきではないでしょうか。

 

大腸がん

さて、大腸がんについてはどうでしょうか。

大腸がんでも、やはり、「標準治療」を受けた人に比べて、「代替療法」を受けた人では死亡リスクが4.6倍になったと書かれていました。

肺がん

肺癌では、その差はそれほどなく2.2倍とのことです。

※「大腸がん」も「肺癌」も、日本人の罹患率が非常に高い癌腫であり、かつ死亡率も高いです。

その理由は、見つかった時には全身転移しており手術などが適応されない患者さんが多いということです。そうなると、藁にも縋る思いで「代替療法」を受けられる方も多いでしょう。

つまり、こういうことです。

「標準治療」を受けた人に比べて「代替療法」を受けた人では死亡リスクが〇倍になったというよりは、

「標準治療」を受けることができる病期の人に比べて、「標準治療」を受けることができない末期の人では死亡リスクが〇倍であった

というのが現実ではないかと私は考えます。このような患者さんの背景が全くわからない情報で、ショッキングなタイトルをつけたコラムを一般の方向けに書くのは、誤解を招きうる危険なものだと忠告したくなりますね。

 

前立腺がん

一方、前立腺がんだけは特殊です。

前立腺がんは、標準治療を受けた人も、代替療法を受けた人も差はなしということです。

これは実は今医療界でも問題になっていることが理由であると考えられます。さきほど乳がんのところでも書かせていただきましたが、「標準治療」と「代替療法」の効果の比較は、ほとんど「標準治療を受けた場合」と「とくに治療をしない(医療行為を受けない)場合」の比較と変換することができます。

前立腺がんは、実は多くが進行の遅いがんです。

つまり、高齢男性で見つかった場合などは前立腺がんの進行よりも前に、べつの病気で亡くなったり、寿命を全うして亡くなる場合が多いと言えます。

実際に近年の医学的見解では、前立腺がんが見つかっても積極的な治療をしないことこそが「標準治療」であるとも言われています。従って前立腺がんの患者さんは、そもそも治療の必要はなく、代替療法なんてものに高額なお金を使う必要はないとも考えられます。

またまたこれは完全な私見ですが、前立腺がんに限って言えば、そもそも代替療法にお金を使うのが無駄だとかそういう以前の問題で、「前立腺がんの検査を受けること」こそがまさに無駄ではないか、と思います。

 

【まとめ】がんと宣告されたら・・・

さて、今回はがん標準治療と代替療法の死亡率の比較という内容でまとめてみました。

このコラムでは、最後の最後にも“標準的な治療に目を向けることが大事”というようなしめくくりになっておりました。

最初に宣言したように、私はあくまで代替療法には中立的な立場です。したがって、標準療法をすすめているわけでも、このコラムに反論しているわけでもございません。

私が今回の記事で言いたいことは、突然の「がん宣告」で頭が真っ白になり、医師や周りの人の言うことを鵜呑みにして何でもかんでも治療を受けないで!ということです。

がんは命に関わる病気です。一方でかつては不治の病と称されましたが、近年はどんどんと治療法が出てきており、完治できたり上手く付き合って長生きできることも多くなってきました。

“癌だ・・・”という事実に落ち込むばかりではなく、しっかりと情報収集して、自分で納得した治療をうけることができると良いですね。

 

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