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【オプジーボ】安全?効く?専門家が臨床試験の結果を分析!

投稿日:2017-08-10 更新日:

【オプジーボ】臨床試験の結果から見えてきた効果と安全性

オプジーボ

こんにちは、Michiです。今日は医学(がん)レポです。

このブログでも、何度か取り上げている『夢のがん新薬』オプジーボ。その他にも、ヤーボイやキイトルーダといった免疫チェックポイント阻害薬の解説記事にはアクセスが多くなっています。

その中でも、さらにみなさまの関心が強いのは、副作用(安全性)と効果についてです。

ということで、今回は医師の説明や添付文書の記載だけではなかなか知り得ない、オプジーボの『臨床試験の結果』について、専門家として分析・考察しレポートしたいと思います。

 

【医薬品】臨床試験とは?

薬

そもそも、「臨床試験」ってどういう試験かご存知ですか?新薬に対する臨床試験については「治験」という言葉の方がよく耳にされるかもしれません。

ここで少し新薬の研究・開発についてお話させていただきます。

まだ承認されていない薬は、製薬会社や大学などの研究施設内で、実験細胞などを用いて、その効果や副作用の予測をたてます。

次に、細胞実験で得られた予測が当たっているかどうか、実験動物に薬を飲んでもらい副作用や効果の出方を確認します。これを「臨床試験」に対して、「非臨床試験」と呼んでいます。

副作用のことを、安全性や毒性などということもあります。(非臨床安全性試験、毒性試験)

一方、効果をみる試験は薬効試験などと呼ばれます。

 

さて、非臨床試験を通過すると、続いて実際の人間に薬を飲んでもらって安全性や有効性を確認します。これが「臨床試験(治験)」です。

臨床試験には、

phaseⅠ(少数の健康な人が対象:安全性(副作用)を評価することが目的)

→phaseⅡ(少数・軽症の患者さんが対象:効果と安全性を評価することが目的)

→phaseⅢ(より多くの患者さんが対象:効果と安全性をより広く評価することが目的)

という3つのステップがあります。

 

添付文書や申請資料には、この非臨床試験と臨床試験(phaseⅢ)の結果というものも、簡潔に載せられています。

【オプジーボ・臨床試験】添付文書 4.副作用

オプジーボ臨床試験例えば、オプジーボの悪性黒色腫(メラノーマ)に対して行われた第Ⅲ相臨床試験の結果は、このように記載されています。

添付文書の4. 副作用というところを見てくださいね。

そこには、臨床試験でみられたオプジーボとの因果関係があると考えられた副作用の頻度が記載されています。

臨床試験で見られた副作用を以下にまとめます。

<根治切除不能な悪性黒色腫>

そう痒症、白斑、甲状腺機能低下症、白血球減少症、CRP上昇(炎症性蛋白の増加)、疲労、倦怠感

 

<切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌>

発熱、倦怠感、食欲不振、発疹

 

<根治切除不能または転移性の腎細胞癌>

疲労、悪心、そう痒、下痢、食欲不振、発疹

 

<再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫>

そう痒、発疹、甲状腺機能低下症、疲労、倦怠感、筋肉痛

 

<再発または遠隔転移を有する頭頸部癌>

疲労、悪心、発疹、そう痒、食欲不振、下痢、貧血

 

こうみると、すべての適応でみられているのが、皮膚障害ですね。そう痒(かゆみ)、発疹が10~20%くらいの高い頻度でみられています。

同じ皮膚にみられるものですが、「白斑」だけは悪性黒色腫の臨床試験でのみみられています。これについては、以前詳しく解説しているのでそちらの記事を参考にしてください。

→オプジーボの副作用でみられる「白斑」について

 

他に全ての適応でみられているのが、全身不調(体調不良)系です。倦怠感、疲労、食欲不振などを認めています。この原因は、いろいろと考えられますが、オプジーボで懸念されている免疫関連事象(irAE)の一つ、甲状腺機能障害や副腎機能障害などに付随した症状の可能性も高そうです。

実際に、悪性黒色腫とホジキンリンパ種の臨床試験では「甲状腺機能低下症」が高い頻度でみられています。

→オプジーボによる「甲状腺機能障害」についてはこちらにまとめています。

 

また、消化器系の不調も見られていますね。下痢、悪心、食欲不振などがあたります。消化器系の症状は、これまでの抗がん剤では必ず起こる副作用ともいわれていましたが、オプジーボの場合はそれほど頻度は高くなく、またそのメカニズムも異なると考えられています。

詳細は下記記事にまとめています。

→オプジーボの副作用で「下痢」がみられるメカニズム

 

そのほかには、炎症系の反応がみられていますね。CRP上昇や発熱は、体の中で炎症反応が起こっているとみられます。いわゆる「○○炎」とよばれる疾患の前駆症状などです。

 

従来の抗がん剤で頻発していた血球系の副作用も、頻度は低いですが出ています。白血球減少症、貧血といった血球細胞の減少が主ですね。このメカニズムは、現在私が得ている情報からは不明です。血小板が減少するとなると、免疫関連性の紫斑病が疑われます。

免疫血小板減少性紫斑病については、下記の記事にまとめています。

→オプジーボの副作用「免疫血小板減少性紫斑病」ってどんな病気?

 

以上、添付文書に載っている臨床試験の結果は、この程度の情報です。専門の報告書等を読めば、より詳細なことがわかるので気になる方はどうぞ。(→PMDA添付文書検索「ニボルマブ」→インタビューフォーム

 

添付文書の重大な副作用に載っているような事象が、臨床試験であまりみられていない理由は?

このようにみてみると、添付文書の重大な副作用に載っている「間質性肺炎」「肝炎」「腎炎」「副腎不全」「脳炎」「重症筋無力症」「1型糖尿病」などは、臨床試験ではみられていないようですね。

他にも、これまでこちらのブログでも、重要な副作用として記事にしてきた「ぶどう膜炎」「血小板減少性紫斑病」「リウマチ」なども見られていないようです。

これは、なぜでしょうか?

いろいろ調べたところ、こんな情報にたどり着きました。

オプジーボの臨床試験では、既往症として自己免疫疾患を持っている人は除外されていた。

という事実があるようです。

「自己免疫疾患の会」がオプジーボに対して注意喚起の声明を出されていました。その内容は下記の通りです。

重大な免疫関連系の副作用が出そうなリスク患者は、臨床試験から除外されていて、副作用(安全性)評価がされていない。

それにもかかわらず、承認後の使用については医師の判断にまかされており、自己免疫疾患の既往歴がある患者さんでもオプジーボの使用は禁止されていない。

自己免疫疾患の既往歴がある患者さんの、オプジーボの使用はどんな重大な症状ができるか想定できない。危険だ。

というような注意喚起の内容です。

当然の結果ですが、承認後(市販後)には自己免疫疾患の既往歴がある方も、がんの治療を優先してオプジーボを使用されています。その結果、重大な免疫関連性の副作用が一気に報告されたということですね。

特に、命にかかわるのは「間質性肺疾患」です。いかんせん、末期の肺がん患者さんがオプジーボの適応になっているわけですから・・・もともと心肺機能が低下している状態で免疫関連の肺炎を発症すると…命の危険に陥ることは容易い想像できます。死亡にいたった例も複数報告されているようです。

 

もちろん、添付文書には【警告】として注意喚起されています。

オプジーボ警告

他にも、このような注意喚起も厚労省から出ています。こちらは最近のトピックで、報道もされました。

「自己免疫疾患をもっている患者さんが、オプジーボとほかの免疫療法の併用で、急性心筋炎様の症状で死亡」

こちらはあくまでも、オプジーボと何らかの免疫療法を併用する、ということへの注意喚起ではありますが、実際は自己免疫疾患の患者さんがオプジーボを含めた免疫チェックポイント阻害薬を使用するときは、同様のリスクが伴うものと考えられます。

 

また命の危険まではいかなくとも、非常にQOL(生活の質)が低下してしまう副作用もあります。それが、「1型糖尿病」や「大腸炎」などですね。

いったん発症してしまうと「1型糖尿病」は治らないといわれおり、一生インスリンの投与を受け続けなければいけません。また糖尿病の合併症のリスク(腎臓病や網膜症など)も考えないといけなくなります。

「大腸炎」も頻回の下痢で外出ができなくなったり、腹痛で食事がとれなくなったり、腸からの栄養分が吸収できなくなったりと、非常にQOLが下がりますよね。

 

【まとめ】オプジーボ臨床試験の結果(副作用)

今回、オプジーボの臨床試験で見られた副作用について、添付文書の情報をもとに掘り下げて分析してみました。

抗がん剤の臨床試験としては、意外と副作用が出ていない、という印象です。

また従来の抗がん剤とちがって、消化器系や血球系の副作用はそれほど頻度が高くなく、非常に高い頻度でみられるのが「皮膚障害」だということもわかりました。これは、オプジーボに限らず、近年市場に投入されている多くのがん分子標的薬にも共通している傾向です。

いわゆる「抗体薬」の特徴のようです。

がん治療は、『腫瘍が縮小したかどうか』という点にばかり集中してしまいがちですが、副作用をコントロールしてQOLを下げずに延命効果を出すという点は非常に重要だと私は考えています。今回の分析が、少しでもみなさまの参考になれば幸いです。

 

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