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【ブラックペアン】現役医師の感想は?あらすじと見どころ解説も!(2018/6/24)最終回追記

投稿日:2018-05-02 更新日:

 【一流の医者の条件がわかる】ブラックペアンの見どころとは?

ブラックペアン③

こんにちは、Michiです。本日は医療レポです。

私は毎クール、1つか2つのドラマを見ると決めています。今クールでは「ブラックペアン」と「コンフィデンスマンjp」を見ることに決めました。

(「コンフィデンスマンjp」は、第4話がつまらなさすぎて、脱落しました。詐欺系で、毎度完結で、そう面白い話題を毎回提供するというのは難しいでしょうね。)

一方、ブラックペアンは医療従事者の立場としても、非常に楽しくみています。

私はとても良いドラマだと思っていたのですが、ママ友の一人はブラックペアンについて「現実離れしていて、見たくない」と言っていました。また、私の親は「現実的で暗すぎる。医療のこういう裏側は見たくない」と言っていました。

見る人によってブラックペアンに抱く感情は異なるようです。そのあたりが視聴率にも影響しているのでしょうね。同じ天才外科医でもドクターXは万人受けするので視聴率は高かったですが、ブラックペアンは伸び悩んでいる所以かもしれません。

果たしてブラックペアンは「現実的」なのでしょうか。「現実離れ」しているのでしょうか。そのあたりのところを、医療従事者として解説しながら、あらすじと感想を含めて検証していきたいと思います。(あくまで私見です。)

 

【一流の医者とは①】医者には2種類の人間がいるという現実【あらすじ】

ブラックペアン⑦

(写真は公式HPよりいただきました。)

ブラックペアンは、田舎の「東城大医学部付属病院」が舞台です。

この東城大に、都市の「帝華大医学部附属病院」からスナイプという最先端の心臓手術器具がもちこまれたところからストーリーが始まります。

 

東城大医学部付属病院について

ブラックペアン⑧

 

佐伯(さえき)教授という神の手をもつ医師が、僧帽弁形成手術をオンビート(心拍動させたまま)で実施するという術式を確立させ、世界中の僧帽弁閉鎖不全を患った患者さんが集まっています。佐伯教授は、外科医の頂点である理事長選の最有力候補でもあります。

 

この東城大に、佐伯教授の言いなりだが、他の同僚とは敵対している、悪魔の手をもつ渡海(とかい)先生がいます。腕は佐伯教授を超えているが、論文をかかず出世に興味がないため下っ端の医師のままです。もちろんオンビートでの僧帽弁手術もできます。

 

また、理事長選のライバルである西崎教授がいるのが、帝華大医学部付属病院です。その西崎教授は理事長選で佐伯教授に勝つために、弟子である高階(たかしな)先生を東城大に送り込んできました。高階先生は、スナイプという最先端医療機器をアメリカから導入しようとしています。スナイプは、オンビートでの僧帽弁置換手術を実施するための機械で、佐伯教授の神の手に対抗できるものです。

 

最後に、世良(せら)先生は研修医として渡海先生についています。渡海先生の驚異的な技術には圧倒されつつも、人間性には疑問を感じ困惑する日々を過ごしていました。そこに面倒見のよい高階先生があらわれ、渡海先生につきながらも、高階先生のスナイプ導入(論文執筆)に協力します。

この物語に出てくる医師を紹介するとわかるように、医師(臨床医)の中にも2種類の人間がいます。

1つは渡海先生のような、素晴らしい技術をもつ「技術屋タイプ」「現場派」です。

もう1つは、高階先生や西崎教授のような「研究家タイプ」「出世派」です。

佐伯教授は「技術」を磨き、「研究」としての成果も出して出世している、いわゆる一般的には(医学界では)超一流の医師と言える存在でしょう。

佐伯教授は別格として、敵対している「渡海先生」と「高階先生」では、どちらが一流の医師なのでしょうか。

 

【一流の医者とは②】ブラックペアンには、一流の医師が2人いる

ブラックペアン⑤

現場主義か、未来志向、どちらが一流か。

私の話になってしまいますが、私自身はその答えを出せないまま医療に従事してきました。

少なくとも医学部は限られた人しか通うことができない学部です。誰でも学べる学問ではないし、誰でも習得できる技術や精神力ではありません。

私はもともとピアノや裁縫が得意で手先が器用でした。大学の研修でも、外科の先生に「外科志望の学生たちより手技が速いし正確で勘もいい」と言われていました。

ブラックペアンをみていてわかると思いますが、臨床の現場で命を救えるのは、手技が速くて正確、かつ状況変化を正しく読み適切な判断をすばやくできる医師です。それらは、「絶対に失敗しない」「絶対に助ける」とい覚悟が据わっていないといけません。

また実は手術において、技術と同じくらい重要なのが数時間継続できる集中力です。医師になるには学力も必要ですが、精神力や体力も必要なのですね。

そういった面で、私は臨床医としての適性が非常に高かったと自分でも思います。

 

しかし、大学という多様な環境の中で、私は国際社会や歴史に興味を抱くようになりました。次第に技術を磨くことより、グローバルな視点で世界での最先端の研究や技術を探して日本に導入するということに注力したいと思うようになりました。

それが、結果的により多くの命を救うことにもつながるのだと、あの頃は信じており、その道に進みました。

 

しかし、実際に研究者の道にすすむと様々な現実が見えてきます。

ブラックペアン第一話の渡海先生と高階先生の会話が、まさに私が抱いた葛藤をあらわしているようでした。

高階先生「スナイプで多くの命が救えるようになる。(今この命が救えなかったとしても、)これは未来のためなんだ。」

渡海先生「俺は未来の話をしてるんじゃない。今の話をしてるんだ。」

 

第3話の二人の会話も印象的でしたね。

渡海先生「論文で人が救えるなんて世話ねえよ。」

高階先生「私に言わせれば、論文を書かないあなたは医者ではない。ただの手術職人だ。」

 

(急患の治療のため、手術の執刀を変わるよう指示しても誰も動かない場面で、)

渡海先生「この中に医者はいないのか」「この中にお医者様はいらっしゃいませんか」

これらは、医療業界に従事している人なら、少なからず抱く葛藤であり、派閥が生じる要因だったりもするかもしれません。

しかし、ブラックペアンをみていて私はやっとこの葛藤から解放されました。

ずっと医師として働きながらいつか答えがでると信じていましたが、まさかドラマをみていて答えが出るとは予想もしていなかったです。

 

一流の医師とは何か。

その答えは「手術屋」か「研究家」か、という2択とは全く異なる次元にあるということに気が付きました。一流の医者は「覚悟があるかどうか」で決まるのだと、このドラマをみていて痛感したのです。医師に限った話ではなく、その業界の一流とはみなそうなのかもしれません。

 

ブラックペアンには、少なくとも一流の医師が2人でてくると思います。

一人は佐伯教授です。そしてもう一人は渡海先生です。彼らは、目的が何であれ「必ず命を救う」という覚悟をもって常に判断・行動をしています。

患者さんの検査結果や機器のマニュアルを細部まで読み込み、それをもってあらゆる可能性を想定しています。そしてその想定をもって執刀医の指名や採用する術式を適切に指名しています。

「必ず命を救う」という覚悟の裏には、佐伯教授の場合は「出世」が、渡海先生の場合は「金(など)」と、目的は違っていますが覚悟はどちらも同じです。

佐伯教授「全ては、私の想定内だよ。」

渡海先生「俺ならできる。俺だからできる。」

この言葉は一流のものだと感じました。

 

【一流の医者とは③】高階先生と世良先生の役割

ブラックペアン②

そして、佐伯教授と渡海先生の影響で、一流になろうとしているのが高階先生と世良先生でしょう。

渡海先生は、きついことばかり言っていますが、いつも「お前に命を救う覚悟があるか」を確認しているだけです。渡海先生は「命を救えるか」という、そこだけしか意識していないのですね。

だからこそ、佐伯教授も渡海先生も高階先生が持ち込んだ「スナイプ」を完全否定はせず、使うべきところで使わせています。

また、第2話では、一度縫合で失敗した世良先生に「辞めろ」「一人殺したな」とおいつめつつも、もう一度重要な手術で縫合をさせました。

なぜか?

それは世良先生が、「命を救うため」になりふり構わず行動したからではないかと私は思います。

ブラックペアン⑥

佐伯教授に逆らって、高階先生を手術室に連れ出したときの世良先生は「命を救う」ことしか考えていなかったでしょう。それがわかったから、渡海先生は最後の仕上げをさせたのだと思います。

その覚悟を試したというよりは、信用したといえるでしょうか。だからこそ、手術のあとから第3話でも渡海先生は世良先生に対する態度を変えています。

パット見た態度はかわらないかもしれませんが、言葉や指示からは医師(正確には研修医ですが)として扱っていることがみてとれます。渡海先生は『命を救う覚悟のある者』しか医師と認めないということでしょう。

 

また、一方で「スナイプ」に拘っている高階先生も一流の医師に向かっているといえるのではないでしょうか。

ブラックペアン

それを感じたのが、この場面です。

「スナイプなら、誰でも僧帽弁手術ができる」と豪語していた高階先生に対して、佐伯教授は手術の失敗をうけて「そこに人が絡む以上、完璧なものはない」と断言し、彼を諭そうとします。

しかし、手術失敗の後にも関わらず、高階先生は「それでも私はスナイプを完璧なものにしたいと思っています」と言い切りました。

この後の佐伯教授の顔は、それまでの高階先生を見下すような、諭すような顔つきから一転しましたよね。

さらっと見てしまうと、反抗する高階先生をにらみつけているような顔に見えるのですが、これは高階先生の覚悟に「圧倒された」「本気を感じた」という顔だと私は受け取りました。

だからこそ、第3話で佐伯教授はスナイプを東城大の責任のもとで、重大な手術に使わせることを決断しています。そして、その執刀医に渡海先生を指名したのは、「絶対に命を救う(スナイプで失敗させない)」という意志の表れでしょう。

さらに、第4話以降ではスナイプを東城大で普及させようとするようです。

スナイプが普及すれば佐伯教授が生み出したオンビートでの僧帽弁形成術が不要になるかもしれないのに、なぜでしょうか。

スナイプ論文の最終責任者に自分の名前を書かせていい思いをするため、というのが第3話での流れでした。高階先生も、佐伯教授や渡海先生がスナイプをよく思わない理由は、「自分たちの高い技術が陳腐化するからだ」と考えているようですね。

しかし、私の目には、彼らは全くそんなことは考えていないようにうつっていました。そしてそれが第3話ではっきりとしたように思います。

佐伯教授も渡海先生も、スナイプで救える命が増えるなら、スナイプは喜んで取り入れたいという考えではないでしょうか。ただし、簡単だからと技術を磨こうともせず、易々と使うな!と警鐘したくて、最初の2例は失敗させたように思います。

高階先生も、こういった一流の医師と一緒にすごし、ただただインパクトファクターに拘る西崎教授より佐伯教授に心が動いていくのではないかと思います。そして、自分の使命が「スナイプを広める」ことではなく「スナイプで絶対に命を救う」という覚悟に変わっていくのではないかと期待しています。

 

ブラックペアンには、医師以外にも一流の看護師がでてきますね。

ブラックペアン④

猫田看護師もまた「命を救う」という覚悟をもった看護師だと思います。

看護師は基本的に担当医師の指示に従わなければいけません。つまり手術では、執刀医の指示は絶対です。しかし猫田さんは執刀医の指示ではなく、「命を救う」ための判断と行動をしている医師の指示に従います。

そのため、渡海先生の指示にしか従わないように見えていますが、渡海先生だから従っているのではなく、「命を救う覚悟」のある医師の指示に従っているだけですね。

看護師はたしかに医師の指示に従うことが絶対です。自分の判断で医療行為をすることはできません。

しかし、どうすれば命を救うことができるかということを判断できるだけの知識を持っておくことは必要です。彼女はスナイプのマニュアルも読み込んでいたし、その努力を徹底しています。

命を救う覚悟をもっている看護師だからこそ、渡海先生も信頼しているということでしょう。

女版渡海先生とよばれており、何人もの看護師を辞めさせているようですが、それは「その努力」をしないで、医者の言いなりになっていればいいという考えの看護師を辞めさせているだけではないでしょうか。

渡海先生もそうですよね。技術のない医師を追い出だしているのではありません。命を背負う覚悟のない医師を追い出しているだけです。

 

【まとめ】一流の医師とは?ブラックペアンの見どころ

これらはあくまで私見ですが、ブラックペアンは非常に現実的な医療ドラマだと感じます。

医療に従事していない方にとっては、ブラックペアンは「非現実的だ」と感じるかもしれませんが、医療系ジャーナル編集者への忖度や、論文やインパクトファクターへの執着など、実際の医学界そのものを見せているドラマだと思います。

若い研修医の葛藤なども、よく表現されているな~と思います。

また、治験では多くのお金が動くのも現実です。私は製薬業界にもいましたので、このあたりのブラックさもよく知っています。

みたくない人は見ない方が良い現実的なドラマかもしれませんが、このドラマを参考にして一流の医師を見分ける目を養うのも良いかもしれません。自分が病気になったときに、自分で医師を選べるようになるための判断基準ができるとよいですよね。

以上、今話題のドラマ「ブラックペアン」について、実際の医療従事者として見どころを紹介してみました。参考にしていただけると幸いです。

☆ドラマを見逃した方で、ドコモユーザーは「dTV」でスマホから見ることもできます。


※私は原作は読んでいません。そのため、今後の展開次第では全く意見がかわることをご了承ください。2018.5.7時点で、私は佐伯教授と渡海先生は、一流の医師であり、悪い医者(信用できない医者)という印象は抱きませんでした。

また医師からみた医療という面での感想しか述べていません。出演者の演技(表現)の良し悪しや、患者様に対する配慮などは現実とはややかけ離れた点があるかもしれません。

 

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【追記2018/6/24】ついに最終回!

ブラックペアン最終回

ブラックペアンの最終回が、とうとう昨晩放送されましたね。

結論から申し上げると、私の予想は当たっていたようです。佐伯教授も、渡海先生も、「患者さんの命を救うこと」だけを考える医師でした。

また、高階先生も、西崎教授を捨て、佐伯教授を尊敬し「命を救うため」に奮闘する医師に成長しましたね。

世良先生については少しがっかりだったかもしれません。技術面の成長は描かれていましたが、精神面での成長などはあまり描かれませんでした。やはり、物語が主演の渡海先生にフォーカスしていったからでしょう。

途中回からは、佐伯教授が医療ミスをしたというような流れになてきて、「ん?本当に?」とやや不安にもなりましたが、最終回でその誤解が無事とけました。渡海先生がこれまで思い込んできたことが、実は誤りだったという衝撃的なラストでしたが、渡海先生の「現実を受け入れられない」という表情と、涙は印象的でした。

 

しかし、最終回で最も私が印象に残ったのは、意外にも理事長選です。

佐伯教授が東城大に戻り、代わりに池永編集長がスピーチされた、その内容がよかったです。私自身もずっと胸に留めてやっていきたいなと思いました。

「外科医の技術にも、最新の医療にも、限界がある。

だからこそ、その両輪で補い合い、高め合わなければならない。

未来の多くの患者を救う最新の研究(高階先生の顔が抜かれる)と、目の前の患者を救う最高の技術(渡海先生の顔が抜かれる)が共存しなければならない。

不完全な人が、完璧を目指すからこそ、医療は発展する。」

私も同じような葛藤を抱えていたものとして、非常に胸にしみる言葉でした。

 

あとは、佐伯教授と、渡海先生(とその父)の言葉も、これから先忘れないようにしたいです。

「そのままでいい。

普通の医者でいい。

医者は患者のことだけを考えろ。

救え。ただ人を救え。」

この言葉があったから、渡海先生のこれまでの言葉と行動があったということですよね。

「これくらい当たり前だ。医者だからな。」(普通の医者とは、人の命を救うものだ、ということ?)

「泣くぐらいなら出ていけ。」(自分の恐怖のために涙など流すな、命を救うことだけに時間を使え、ということ?)

などですね。

 

最後に・・・少しだけ医師以外の方々にも触れておきたいと思います。

色々と話題を振りまいていた治験コーディネーター(CRC)さんについては、正直フィクションとしてみれば何でもなかったと思います。たしかに、手術モニター室や教授室を自由に出入りしたり、守秘義務がある患者情報を教えるといった行動などが現実のCRCではありえないものでした。

したがって、「治験コーディネーターの木下です」と名乗ってしまっている以上、様々な行動が違和感ある描かれ方だったかもしれませんが、治験をすすめるために大金が動いていたり、接待のようなことが行われることは、現実でもままあることです。

医学の世界がクリーンだというのは、多くの方々の思い違いです。

私が製薬業界、医療業界から手を引いてしまったのは、そのあたりのふんぎりがつかなかったからですからね・・・(って私の話はもういいです。)

 

そして、もう1つだけ。

看護師の猫田さんについてですが、彼女はいったいなぜあれ程までに渡海先生に協力的だったのでしょうか。第3話までのコメントとして、「猫田看護師は一流。だから、命を救う覚悟と技術のある医師に従っているだけでしょう。」というのを書きましたが・・・

うーん。途中の脅迫まがいの行動や、渡海先生がいないので休みたいという発言・・・

どうしてそこまで?と思っていましたが、その謎は最終回でも解かれませんでしたね。

これは予想ですが、最後に渡海先生の寄付金画面を笑顔で見つめる猫田さんが写りました。

もしかすると、猫田さんも、そしてCRCの木下さんも、過去に「医療過誤」によって何らかの被害を受けていて、渡海先生の「医療過誤を許さない。暴いてやる。」という野望に共感、その結果尋常ではないほどの協力姿勢になったのかな?と思いました。

さて、毎週日曜のお楽しみだった「ブラックペアン」がとうとう終わってしまいました。ブラックペアンはただ楽しくみるだけではなく、胸にしみる言葉や、勉強になるところがたくさんありました。私もこれからも医療従事者として精進していきたいと思います。よいドラマでした。

TBSさん、俳優、関係者のみなさま、ありがとうございました。

著者の海堂さん、ありがとうございました。

(ブラックペアン感想 おしまい)



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